本コンテンツは当サークル発行の同人誌「MITSUBISHI T-2CCV」のサブセット版になります。
記述が中途半端だったり、最後のアタリがちゃんと〆られていないなど読み物としては不完全なものですが、オリジナルから適度に端折りつつ綺麗にまとめるのは根性と実力不足で無理でした。同人誌版は図解を追加して数倍の文章量で構成されています。本書は主に三菱の技報や学会誌および当時の航空雑誌記事を元に書かれていますが、いかんせん航空機については全くの素人が書いていますので、どこに勘違いや思い違いなどによる記述ミスやねつ造新事実が潜んでいるかは解りません。
同人誌はそのあたりは「趣味ですから」の一言ですませられるのですが、部分的とはいえWebで公開するにあたり(特にディープリンクで直接このページを開いている場合)本コンテンツを読んで盲目的に内容を信用される方が現れると困るので、念のため宣言をさせて頂きます。
本書は素人が趣味と興味本位でかき集めた資料を元にいい加減な知識で記述した原稿であり、正確な技術資料ではありません。嘘を書いているつもりは有りませんが、間違いが有る可能性は多分に存在しますのでご注意下さい。
日本が国産超音速機としてT-2/F-1を作り上げた当時、アメリカやヨーロッパ諸外国ではFBWを用いた実用機が登場しつつありました。T-2は良くできた機体では有りましたが、先進諸国の機体に比べれば至らない点が多いこともまた事実でした。当時の関係者の論文や技報などには、自分たちの持っている航空機設計・制御技術が諸外国(特にアメリカ)に比べて著しく遅れていることに強い危機感を持っていることを感じられる記述が多数あります。
このような背景の中で、海自機P2V7を改造してDLC/DSCやアナログフライ・バイ・ワイヤ(AFBW)の実験が行われていましたが、三軸多重デジタルFBWシステムとCCVに関する制御・設計技術を確立するための研究・実験がおこなわれることになり、T-2CCV計画が立ち上がりました。T-2CCVは戦闘機の運動性・機動性を確保するために今後(当時)必要不可欠と思われていたデジタルFBW(DFBW)システムの構築ノウハウとさらに、CCV化によって従来の三軸制御を超えた運動能力を機体に与える事、さらにその運動がどのように機体挙動に影響を与えるかの調査、そして今後の機体開発時にそれらの運動能力を活かせるようにするための基礎データ確保が目的となっています。
本試験計画は、T-2の改造機を用いた実機試験が中心だったような印象を持つ人が多いと思いますが、現実には各種風洞実験やシミュレーション実験、理論設計などがどこまでできるかという点のほうが大きなウェイトがしめられていたのではないかと思います。
タイムスケジュールでみてみると、まずは1978年(昭和53年)〜1981年(昭和56年)までを基礎研究と試作にあてており、実機の完成は1983年(昭和58年)になっています。実機の飛行テストはその後2年間(1984/85年)で行われています。
研究開始の時点で、日本にはフライ・バイ・ワイヤの実績がほとんどありませんでした。T-2CCVでは、T-2の胴体内部に収まる収まる小型のコンピュータの開発から始める必要もあり、ほとんどすべての基礎技術の確立も同時に行われる必要がありました。その期間が実に4年存在しています。
さて、そのようなわけで、CCV機に関する研究を行うとはいっても、いきなりCCV概念に基づく機体設計を行った試験機をつくるなんてわけにはいきません。そもそも当時の日本にはそれだけの技術や理論が存在しなかったのです。 そのため、まずはCCV機の製作を行うにはどのような技術が必要となるのか?という基礎研究から始まることになります。その結果、いくつかのACTやFBW技術、そしてカナードを用いた『従来と異なる概念の機体動作』などの飛行モードなどの技術確認が行われことが決められて行きました。
T-2CCVの計画はおおむね次のスケジュールで行われました。
53年度 委託
54年度 試作1
55年度 試作1
56年度 試作1と2(平行)
57年度 試作2
58年度 中旬まで試作2
58年度 中旬より所内試験
59年度 所内試験
T-2を使用してCCV研究をするにあたって、
どのような事が可能なのか?
また、どのような技術要素の開発が必要になるのか?
どのような機体改造が必要になるのか?
などの、『そもそもどうすりゃ良いでしょうね?』という部分の検討と、機体改造の基本方針とその根拠なども含めた見積もり、基礎理論の研究が行われています。
改造に必要となる各種機材の開発や、風洞実験、カナードの作成や各種改造に必要となる要素技術の開発、事実上ゼロからの開発になるDFBWコンピュータの作成とプログラミング作業などが行われています
試作1で得られた研究結果を元に、実機構成要素や試験機材の作成、最終的には実機の作成と三菱側によるテスト飛行が行われています。
航空自衛隊側での飛行試験のことを指しています。ゆえに、実際に三菱側では、試作その2の段階で試験飛行まですませています。本書では試作2までの情報を元に作成されています。
CCVは広義には機体設計やデザインの手法を安定性優先でなく効率優先で行う事を指しますが、「効率」の意味が非常に広いです。しかしT-2CCVの研究では「戦闘機」として利用するための研究ですので、おのずとその内容も絞られてきます。防衛庁技術研究本部ではアメリカなどの研究結果もふまえた上で次のモードの制御が可能な機体に改造することを決めました。
RSS 静安定自動補償
CA 操縦性最適化
DSC 直接横力制御
DLC 直接揚力制御
MLC 旋回性向上
RSS/CA/MLCはピーキーな特性の機体をどれだけ扱いやすくかつスマートな運用が出来るようにするかの技術と言えます。要するにクルっと回ってピタっと停まる。そんな運動性と操作性をかねそなえた機体を作るための技術です。DSCとDLCは従来の、飛行軌道変更=姿勢変更という飛行機の運動の常識を覆し、姿勢を変更しないで動翼の発生させる力のみで機体運動を行わさせるための技術です。従来の安定性優先の構造の機体では出来ない/しにくい/運動の実験となります。
各モードについて、もう少し踏み込んで説明します。
一般に飛行機は有る程度の安定性をもっています。例えば何かの理由で多少姿勢が変わっても、自然と水平に戻ろうとするか、現状維持を続けようとする能力です。この機体がもともと持っている能力を静安定性と呼びます。一般的な機体設計ではそれなりの静安定性を空力的に設計に盛り込みます。 しかし一般的な静安定性の実現方法は、空力的・重量バランス的に実現されるため高い運動生を求めようとする場合にはロスも大きく小回りの効く機体とは相反する条件となりやすいです。これらのロスを減らした機体設計を行えば、従来機より高い運動性を持ち空気抵抗も少ないく効率の良い機体設計が可能になるはずですが、戦闘機に求められるそれは人の手で安定して機体を制御できないレベルにまで達してしまっています。
RSSとはこのような状態の機体を、能動的な機体制御によって空力的に安定した機体と同様の状態に持っていくための技術です。逆説的に説明するなら、RSSによって静安定性を補償する事を前提に運動性や機動性優先の機体形状設計や操縦系統の設計を行えるということになり、結果的にCCV機に必須となる技術といえます。
従来の機体においても、揚力の変更には三つの方法が有りました。それは、姿勢変更により主翼の迎え角を変更する方法、フラップやエルロンを動作させる方法、そして速度を変更する方法です。しかし、このうち後者二つは、通常の運動では使用されず姿勢の変更が事実上必須でした。DLCではフラップとスタビレータを連動して能動運用することで、姿勢も速度も変更しないままで高度の変更(上昇や下降)を行います。
DSCの項でもほぼ同様の説明となりますが、機体の進行方向を変えるために従来はまず機体の姿勢を変更する必要があったにもかかわらず、DLC/DSCではそれらの手順を飛ばして運動が可能になります。また、揚力バランスを姿勢変更をしないで変更できるため、進行方向を変更しないで姿勢だけを変更する(例:飛行進路は水平のままで機首の上下左右の変更ができる)事が可能になります。
通常、飛行機は横方向の移動を行うためには、機体の姿勢を変更して旋回を行うことで移動を実現します。しかし、旋回にはロール、進路の上下など本来の目的とは異なる運動が織り交ぜられることになり、特に細かい左右移動を使用とするといろいろ面倒なことになります。
これを、横方向の揚力を直に発生させることで、旋回の全てのステップを飛ばして機体の移動を行ってしまう仕組みがDSCです。機体を直接横に押す力(DSF:DirectSideForce)を得ることによって機体はバンクなしの水平移動という新しい運動能力を得られます。 DSCを用いることで、いわゆるかに走り移動と、左右方向の首振り動作が可能になります。左右の首振り動作はカニ走りの応用です。
CAはFBWによる操縦性能そのものを指していると考えてかまいません。
CAを突き詰めると例えば次のような事が可能になります。
スティックを触っていない時には突風が吹こうが機体重量の変化が有ろうがお構いなしに直進飛行を行い密集編隊飛行を行うことも簡単に出来、その安定性はグライダーや大型旅客機のようである。しかしひとたびスティックを操作すれば即座に反応をしアクロバット機もかくやというコンバットマニューバもあっさりこなし、さらに微妙な操作を行えば、空中給油機の給油ブームをつかむことも簡単に出来るような微妙な操縦をも可能にする。しかもこれら全ての操作を特殊な訓練を受けなくてもだれでも利用出来るように機体制御が行われる。
これが戦闘機におけるCAの一例です。実際にはFBWは魔法では有りませんから機体の持っている空力特性以上の動作は出来ません。またCAは様々なモードの混在した非常に複雑なシステムであるともいえます。先ほどの例でさえ、CASに相当する機能、NSSの機能、突風対応などが存在しています。
MLCは、速度や姿勢そして目標とする運動量に応じてFBWのシステムが自動計算して前縁フラップや後縁フラップの下げ位置を随時能動的に変更・制御しようとする技術です。目的は最適揚抗比になるように前後フラップを用いて実現することで、少ない迎え角でより大きな旋回や上昇を行えるようになります。
つまり同じ旋回半径(運動量)なら機体の速度減少が少なく、同じ姿勢変化(迎え角変化)ならより大きな旋回量を期待できる技術ということになります。結果的にRSSによる回頭応答性能の向上と合わせることで運動性能の大幅な向上を期待できます。
T-2を改造してT-2CCVにするために次の要素の追加や変更が行われました。
FBW用コンピュータの開発もT-2CCVによる研究では重要な要素となりました。コンピュータに求められている能力は複雑で高度になりつつあります。しかし制御システムとしてFBW(フライ・バイ・ワイヤ)を用いる事は最初から決まっていますが、そのためのコンピュータもソフトウェアも制御規則も全て自前で作成しています。このコンピュータは3重化されており自己診断機構を活用することで2フェイルオペラティブ性を確保しています。
ノーマルのT-2では、機体の重量中心は揚力中心位置より前に位置しています。つまり、頭が重い状態になっていて、これをスタビレータ(水平尾翼)で尻を下げるように重しをのせることで縦静安定を作っています。 RSS実験のためには縦静が弱い状態にする必要があるので、水平カナードを主翼の前に取り付けて揚力中心を移動させて必要条件を満たすことにしました。
水平カナードは縦静安定マージンをマイナスに持っていく為に設置がされていますので、その角度や取付位置は固定されています。別項で説明されるDLCやMLCなどは主翼とスタビレータで処理がされます。
水平カナードの構造は、前縁部、中央ボックスビーム部、後縁部の3つのパーツに分かれています。材質は、中央ボックスビームがアルミ合金製の桁にCFRP製の外板をボルト止め。他がアルミ合金構造です。左右の翼は機体を横に貫くビームで連結されていて、ビーム中央のカナード固定用アクチュエータによってFBW時には水平位置でロック、MBU時にはフリーフロート化が行われます。
水平カナードと異なり、垂直カナードはDSC制御の為のDirectSideForce発生の為に能動的に使用されます。構造はフルデプスハニカムサンドイッチ構造を採用し、左右外板、前縁桁および後縁材にCFRPを使用、翼端材としてGFRPを使用しています。また、操縦席からのメカリンクでの接続は有りません。
オリジナルT-2のフラップは段階動作のスロテッドフラップで、アクチュエータは電動です。しかし、DLCおよびMLCを実現するためには大幅な変更が必要になりました。 そこで、思い切って単純フラップに換装し、油圧アクチュエータも新規増設しています。このフラップは、左右独立動作が可能です。FBWでの飛行時にはスポイラーが使用されなくなるからで、エルロンの無いT-2ではフラッペロンとして動作させる必要があるためです。
オリジナルT-2はエルロンを持たず、機体のロール制御をスポイラによって行いました。ところが、スポイラ制御とDLCでは相性の悪い部分がありスポイラーが効かなくなる場合があります。そのため、スポイラはFBW飛行中はロール制御のためのシステムとしては動作しないようになっており、操縦桿からの接続も切られています。
なお、スポイラは主翼幅に対して2分割する形で二つ存在していますが、この胴体側のスポイラーがDLC動作時に負圧で吸い出されて動いてしまう事が有ることが風洞実験で発覚したためT-2CCVでは胴体側スポイラを短くして、この負圧に対する対策としています。
標準状態の動作角度では垂直カナードが発生させる横力(DSF)に対応するヨーイングモーメントが発生させられないことが当初より予想され、風洞実験で確認もされたため、動作角度を2.5倍まで増やしています。これに伴って、方向舵の動作用油圧アクチュエータも強化型に交換されています。強化型の大きいのに交換したのでヒンジ部も大きくなっています。
人が設計し製作している物理的なシステムである以上、どんなに対策をしてもトラブルをゼロには出来ません。そこで、「まあ、これくらいの間こわれないでくれれば事実上問題ないだろう」という考えに基づいた設計が行われます。ところが、この当時(現在もですが)の電子機器の平均故障間時間は航空機の求める品質に単体では達していません。
そこで、多重化することでそれ全体を一つの機器としてみたて「全体としての機能が失われない時間」を大幅にのばすことで平均故障間時間の要求仕様をみたそうとしています。
例えば2重の場合はどちらかが故障して変な値をはき出したとしても、どちらが正しいのかは解りません。つまりこの次点でこのシステムは機能を喪失した事になります。そのため、2重化では「どっちか故障して終わりなので故障の危険性が二倍=寿命は半分」となります。ところが3重にすると3台のうち2台が動いていれば良いことになります。故障確立3倍で結果として同じじゃないの?という疑問も出ますが、それは故障間平均時間のなかでどれか1台が壊れる確立です。しかし実際に問題にしているのは「同時に2台壊れる確立」で、これの可能性は大幅に減少します。
FBWでの信頼性を確保するためには2台のコンピュータが同時に故障しても正常動作する状況がもとめられており、そのためには4重で有る必要があります。 もしこれが3重系で同じ仕組みだと、故障余裕度は1台ということになり平均故障間時間がたりなくなります。
しかしながらT-2CCVではDFBWの冗長度は3重です。三菱ではDFBWのコンピュータに徹底した自己チェック機能を搭載して、実質4台目のコンピュータに相当する部分を持たせています。必要なのは4重の冗長度ではなく3台のコンピュータが同時に壊れないと機能損失をしない事だからです。
DFBWのコンピュータ(文献中ではCCVコントローラと表現しています)は3台動作していていますが、それぞれのコンピュータを適当に動かしてやるわけにはいきません。 なぜなら、同期していないとそれぞれのコンピュータが結論を出す時間に差が出たり、センサの入力値を読み込むタイミングがずれて、出力値にも違いが出る可能性があるからです。故障していないのに3台のコンピュータの演算結果が異なればどれを採用していいか解らなくなります。そこでこういった遅延による諸問題が発生しないようにするために、3台のコンピュータは同期処理が行われています。これによって、3台のコンピュータは演算開始前の入力情報を完全に一致させることができ、「機器が正常なら」計算結果も同一になることが達成されます。
コンピュータが多重化されても入力情報が信頼できなければ意味がありません。そのため、センサや操作スイッチの入力も多重化されています。
スイッチ類の殆どは冗長度が2重です。2重では実質的な冗長化による補償はうけられませんが、入力値が異なる場合は故障であるとの判断が可能です。T-2CCVではスイッチ類の故障が発生した場合には、その入力を無効にするかMBUに切り替わるかするものと思われます。(※この部分の対応方法が記述された資料が見つからなかったので推測になります)このあたりは実験機なのでおおざっぱなのでしょう。
各チャンネルは自己が故障していないかを適当な方法でチェックします。方法は次の3種類のチェックを行いその論理和をとります。論理和(or)なので、どれかひとつでも引っかかると故障と判断されます
自チャンネルと他の2チャンネルの舵角コマンド値を比較する
ひとつの舵角コマンドに対してサーボアンプを二つ用意し、その出力を比較する
CPUセルフテスト、インターフェーステスト、メモリチェック、ウォッチドックなどを用いて自己の故障検出を行う。
以上のような内部チェック回路を複数処理し全部が正常と値を返したときのみ「自チャンネルは正常である」との結果を返します。
飛行前点検を自動(auto)あるいは半自動(nomal)で行える機能が実装されています。 nomalモードは整備員が行うチェックで使用するモードでスイッチ類の確認やステックフォース、ペダルフォースセンサなどのテストもすべて行いチェック進行ははステップ実行となります。さらに、機体や回路のあちこちにテスト端子が用意されこれらに計測器を接続した検査も行えます。 autoモードでは、パイロットが最小時間で行うプリタキシングチェックでコクピットの「BITイニシエートスイッチ」を押すだけで全自動で行いその結果が表示されます。従来ならパイロットが自前で行っていた「全動翼を実際に動かして目視確認」などのチェックも全自動で行います。
T-2CCVは何しろ実験機なので従来の機力操縦の仕組みをほぼそのまま残して必要に応じて飛行中でも切り替えて使用できるように設計がされています。
T-2は操縦桿・ラダーペダルの動きは機械リンクで動作させていたため、これらのリンクを必要に応じて簡単に切り替えてFBW/MBUの運用が出来るような、切り替え機構が内蔵されました。 メーカーの人が言うところの平行四辺形リンクと油圧ロック機構を用いることで、操縦桿からのメカニカル的なリンクはいっさい切断されないままで機力操縦とFBW操縦の切り替えが可能になっています。
なぜ平行四辺形リンクなんて不思議な方法で切り替えるのか?途中で適当な方法で切り離せばいいだけじゃないのかという疑問もでますが、これはシステムの安全性を上げるための措置です。スティックの入力を切り離す際に、物理的に切り離された状態を作成することは、万が一のトラブルの際に接続部分が原因でMBU時にスティックフォースがアクチュエータまで届かない事態が発生することも考えられるからです。
水平カナードは、「固定」と「フリーフリート」の2状態しかないので、FBWモードで油圧が加えられるとカナードは中立位置で固定されます。MBU時にはアクチュエータの油圧ピストン(前後から押さえ込んでいます)の油をバイパスラインで相互自由に移動できるようにすることでフリーフロート化を行っています。
MBU時には、多重信号アクチュエータの動作位置を中立状態にすることでカナード自体も中立位置で固定されます。アクチュエータは構造的にデフォルト位置が中立になるように機械構造的に作成されています。
MBU時には10度下げ状態でメカニカルサーボ側で油圧的に固定されます。
後縁フラップは本来のスロテッドからプレーンのフラッペロンへ切り替えたため油圧&アクチュエータ回りはドラスティックに変わっています。そのため、MBU時には後縁フラップは固定的に下げられる設定になっています。フラップコントロールレバーがUP位置で10度、TO位置で25度の下げ位置でホールドされます。
スタビレータおよびラダーは機構的には殆ど変更されていません。FBW時の多重信号アクチュエータが前段に挟まった程度なので、MBU時には例の切り替え機構によってパイロットの操作した物理操作量が入力としてサーボアクチュエータに従来通り入力されるようになります。MBU時はRSSやCAの制御則でスタビレータが自動で動かされることは有りません。
FBWモードでの飛行のうち、通常の3軸(ピッチ・ヨー・ロール)制御関しては既に上げている切り替え機構を使用して操縦桿とラダーペダルを使用して機力操縦と同じ手法・感覚で入力が出来るようになっています。このほか、DLCとDSCに関しては専用の入力装置を別途装備して操作ができるように作られました。コックピット回りは次の装備が追加・変更されました。
スティックアセンブリが作り直されてフォースセンサがグリップ下部に増設され、ステック根本手前部分にMBUに一気に切り替えるための緊急メカ切り替えスイッチ、そしてスティック頭部にCCVボタンが増設されています。CCVボタンを使用してDSC/DLCの入力を行える設計です。
踏み込み量を検出するフォースセンサが増設されています。ラダー入力は、通常のラダーコントロールの他にDSCコントロール入力として使用できるようになっています。
コクピット左側スロットルレバーの後ろ側に増設されたスティック型のアナログジョイスティックです。CCVレバーは、DLC/DSC操縦の際に使用します。
ダイヤル式数値入力とモードスイッチそして入力スイッチを使用してCCVコントローラに直に数値パラメータを与えてステップテストが行えるようになっています。操縦桿やCCVレバーではパイロットの「こんなかんじ」というアナログ動作量で入力がされますが、パラメータパネルでは直に「××の入力値を○○で試験」といったことが可能です。
T-2CCVのFBW飛行をどのモードで行うかの設定、つまり操縦性改善や特殊飛行モードなどの状態の指定を行うパネルです。たとえば、DLC/DSCを平行移動モードで実施するのか、首振りモードで実施するのか、MLCのON/OFF、CASのON/OFFやモードなどを設定できます。FBWモード/MBUモードの切り替え、FBWシステム(ようするにコンピュータ)のリセットボタン等も設置されています。
オリジナルXT-2ではHUDは付いていませんが、T-2CCVではHQDT試験を行うために増設されました。
機体の横滑り角/横加速度を表示します。DSC/DLCで機体挙動と運動の関係が従来の三軸制御操縦とは異なるため増設されています。
CCVコントローラ(コンピュータの動作状態)の自己判断結果がリアルタイムでランプで表示されます。状態内容は単純明快で、[INFORM]/[CAUTION]/[FAIL]の3つだけ。ややこしい計器類をみてパイロットが判断するのではなく、このコントロールランプを見るだけで判断が出来るようになっています。
「プリフライトBIT機能」にて説明しているプリフライトチェックを自動で行う為のパネルです。でかいボタンがでんでんでんと付いています。結果詳細は増設されているキャラクターパネルに表示されます。(ちょっと自信ない)